パートタイマー就業規則を作成したときの過半数代表者は誰なのか
お客様からのご質問事例のご紹介です。
「パートタイマー就業規則を作成した時には、パートさんの過半数代表者を選出し意見を聴かなければならないのですか?」
先日、パートタイマー就業規則を作成しました。
そこで、過半数代表者である正社員に意見を聴こうとしたところ、
「パートタイマー就業規則なのだから、パートさんの中から過半数代表者を選出して意見を聴かなければならないのではないでしょうか?」と言われたのです。
「そう言われたらそうかもしれない・・・。」と判断がつかなくなりました。
労働基準法第89 条で「常時10 人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し行政官庁に届け出なければならない。」
とされています。
さらに就業規則の作成や変更にあたっては、同法第90 条により、
「その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」と定められています。
【就業規則に関する意見聴取について】
ご質問いただいた会社様のように、同一事業場においてパートタイマーなど一部の労働者に適用される就業規則がある場合には、行政の解釈として
「同一事業場において一部の労働者についてのみ適用される就業規則を別に作成することは差し支えないが、当該一部の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部分であるから、その作成又は変更に際しての法第90 条の意見聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが必要である。」(昭23.8.3 基収第2446 号、昭24.4.4 基収第410 号、昭63.3.14 基発第150 号)としています。
簡単に言えば、事業所の一部の労働者にのみ適用されるパートタイマー用の就業規則の意見聴取は、パートタイマーから過半数代表者を選出し、意見を聴くのというものではなく、事業場の全労働者の過半数代表者であるその社員に意見を聴けば足りるということになります。
ではパートタイマーの過半数代表者に意見を聴かないほうがよいのか?というと、
そうではありません。
行政解釈においても、使用者が当該一部の労働者で組織する労働組合等(つまりパートタイマーからの過半数代表者)の意見を聴くことが望ましい。とされております。
堅苦しい話は抜きにしても、皆で意見を出し合いながら就業規則を作成するという事は、実務上とても大切な事です。
従業員と事業が一体となり作り上げていく就業規則は、モティベーション向上と労使双方に程よい緊張感を生むからです。
法律だけの視点ではなく、こういった人事労務の視点からも考えて事業運営を実行していきたいものですね。
※モティベーションとは、人が何かをする際の動機づけや目的意識です。