36協定の過半数代表者を決める時の注意点

19年4月15日

36協定を結ぶには、労働者の過半数を代表者として選出しなければなりません。

社長等が「〇〇君代表者として署名押印しておいて」はNG!

最近は労働基準監督署からチェックが入ることもあります

では、投票等で代表者を選出する場合、正社員、契約社員、パート社員等様々な雇用形態の方にどこまで投票権を持たせるべきなのでしょうか。


【A社で働く方の構成】
正社員 57 名(うち管理監督者3名 休職者1名 育児休業者1名)
契約社員 11 名 、パート社員 3名 、受入れ出向者 1名
派遣労働者 2名

を例にして考えてみましょう。

そもそも36協定は、

「時間外労働等の対象となる労働者の過半数の意思を問う趣旨ではなく、その事業場に使用されるすべての労働者の過半数の意思を問うためのもの」

と解されています。

そのため、その意思を問うための労働者の過半数代表者を選出する際には、その事業場で使用されるすべての労働者を対象として選出を行うことが必要となります。

ですがA社で働いている正社員以外の様々な雇用形態の方について、すべての方が対象となるわけではありません。

①出向者の方の場合
出向元、出向先双方と雇用関係があるため、どちらの事業所の「労働者」といえるかについては判断しがたいところです。

出向者の36協定は実質的に指揮命令権を行使し、労働時間を管理する出向先で協定を締結することが必要であるとされているため、過半数代表者を選出する際の「労働者」としては、出向先の事業場の「労働者」に含まれると解することが自然と考えます。

②派遣労働者の方の場合
派遣労働者は「当該派遣元の事業場のすべての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の労働者との両者を含むものである」(労働基準法 昭61.6.6 基発333 号)と通達されています。このことから、派遣労働者は派遣元の「労働者」に含まれることとなります。また、労働時間の規制の適用を受けない管理監督者や休職者、休業者、病気で長期欠勤している者等など時間外労働等が生じる余地がない労働者も、その事業場で使用される労働者に変わりはないため、過半数代表者を選出する際の「労働者」に含まれることになります。

以上のことから、A社の場合、派遣労働者を除いた方が、労働者の過半数代表者を選出する際の「労働者」となります。

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